四万十野菜では、生姜・里芋を主力の野菜品目としながらも
土づくりの観点から、にんにく・カボチャ・ソラマメなどの他の
野菜を育てています。他にも食べる事は出来ない有益な植物(緑肥作物)
育てていますが、その意図は立派な根で土をほぐし柔らかくしたり(耕耘と同じ効果)、
大きく育つ中でその植物自体(有機物)が土に還り(写真のようにトラクターや
刈払機などの機械で粉砕します、そして耕耘する事で土の中に還っていきます)
、分解が進み「腐食」という土づくりに欠かせない要素に変化し、
堆肥と同じように働いてくれる事を期待しているという事です。
少し難しくなりますが、同じ作物を、同じ場所で作り続ける事を「連作」と言いますが、同じ作物を作り続けると
土は次第に痩せていきます。土は大地の一部として無限に広がっているように感じるかもしれませんが、人間が
育てる作物(野菜)の根が届く範囲は非常に限られており、人間が農業で使っている土は地表から40㎝程度です
ので、ほんの一部を使っているに過ぎません。ですから、同じ野菜(成分)を作りづける(畑から持ち出し続ける)と
瘦せてくるのは自然な事です。また、同じ作物を作り続けるとそこに、その作物の好きな虫が世代を超えて住みつく
ようになります。虫には、作物に食害を与える害虫もいれば、その虫を捕食してくれる益虫もいますが、通常同じ
野菜を作り続け、かつ人間が様々な手を加えると地表や土中も含めた畑の生態系のバランスが崩れてきますし、往々に
して害虫が優勢になってきます。(悪い状況を対処療法的に解決しようとするとさらに、悪い結果を招く事が多いのが農業です)
有機栽培では、その土地の自然に負荷をかけず、化学的処理がされた成分がその土を汚さないという制約の中で野菜作りを
行います。よって、農薬(除草剤も含む)・化学肥料を使いませんので、通常の農業では主流である同じ場所で同じ野菜を繰り返し
栽培する事で土が瘦せてくるという大きな問題を防ぐ事が大変難しい為、通常「輪作」を行う事が一般的です。
四万十野菜の行う「輪作」では、通常 生姜・里芋を育てた後、再び同じ畑で育てる時は3~5年後にしており、地力回復の為十分な
期間をあけ、生姜・里芋以外の野菜を育てその生育結果をもとに次回の生姜・里芋の栽培を決めています。よって、生姜・里芋を、
育てたい面積の3~5倍の畑を予借りておく必要があり、これは有機農業を行う農家の基本的な営農の考え方です。
少なくとも、有機の野菜農家については、輪作をする必要性から自身の育てたい野菜の面積以上の余分な畑(農地)を借り受けて
経営効率を落としているという問題が起こっています。
今回ご紹介している、「生物燻蒸」の技術は、その有機農家が半ば仕方なく広い面積を借りる必要が起こっている現実を打破する
可能性のある技術です。通常3~4年間の間隔をあける必要がある所を、2年に1回の頻度での栽培を実現する事が可能になる実験を
現在進行中です。
有機生産者では、ご夫婦二人で2ha(200a)弱、お一人なら1.2ha前後を管理される場合が多いですが、その面積が、もしかすると
半分で良くなるかもしれないという事です。有機農業では通常、雑草の管理が一番の悩みの種であり、基本的には、這えた草を刈る
事しか出来ない為、管理する畑の面積が少なくなる事は雑草管理も半分になるという事であり、想像以上に生産性が向上します。
四万十野菜では、自社で積極的に新たな取り組みを実践し、知見を蓄積していき、将来 有機農業における新規就農者の人口増加
独立とその経営安定に役立つ仕組みづくりを推進し、四万十町に有機農業の産地を作る事を経営目標としています。
今後も有機農業に役立つ情報や四万十野菜の考え方をご紹介していきたいと思います。
ご期待下さい。